三井住友海上名古屋しらかわビル しらかわホール
http://www.shirakawa-hall.com
が発行しております
「音彩」No.30にコレギウム・ムジクムが特集されました。


以下の画像及び文章は「音彩」No.30より引用させて頂きました。



27年前、ヒストリカルなチェンバロを手作り

藤井さん夫妻の出会いは名古屋大学管弦楽団。正行さんはフルート、義子さんはピアノを演奏されていました。
正行さんは名大オケと平行してNHK放送管弦楽団にも在籍し、大学卒業後も仕事を続けながら13年間、演奏会に出演していたそうです。
このときの人脈がのちにコレギウム・ムジクムのコンサートで役に立ったとおっしゃっています。

27年前、正行さんは病気のためフルートをそれまでの様に吹けなくなったのを機に、以前から憧れていた「チェンバロをモノにしよう」と決心。
チェンバロは高価な上、今よりも入手するのが困難でしたが、たまたまアメリカ製のチェンバロのキットを持っていた人から譲り受け、正行さんが3ケ月半かけて組み立てました。
キットは偶然にもヒストリカルなチェンバロで、これがもしモダンだったら現在のコレギウム・ムジクムの活動は無かったかもしれないと御夫妻はおっしゃいます。

当時、名古屋音楽大学で古楽を教えていた山田貢先生がチェンバロを見に来られた事がきっかけで、
「山田さんからチェンバロを習おうというグループが自然発生的に出来て、隔週事にレッスンを受ける事になりました。」
と義子さん。

3年後の1978年6月、中電ホールでコンサートを開く事になり、どうせなら「4台のチェンバロのための協奏曲」を演奏しようと各地から演奏者のチェンバロを持ち寄り、演奏。
以来、「4台のチェンバロの.......」はコレギウム・ムジクムのコンサートでは必ず演奏される看板プログラムとなっています。




自宅でコンサートを開催

チェンバロに魅せられた藤井さん御夫妻は、その後4台のチェンバロを順に購入。
楽器を置くスペースを確保するため、自宅の2階に22坪の小ホールを増築されます。

床には音の反射を良くするためのコンクリートパネルを貼り、ここで定期的にレッスンやコンサートが行われる様になりました。
講師は山田先生から橋本英二、渡邊順生、小林道夫先生と変わり、11年前から日本を代表するチェンバリストの中野振一郎先生から指導を受けています。

「私がチェンバロを始めたのが40代。名古屋からいいチェンバリストが生まれる事を願って25年やってきました」
とおっしゃる義子さんですが、現在は中野さんとの共演も多い名古屋きってのベテラン・チェンバリストとして活躍されています。
コレギウム・ムジクムはラテン語で「音楽する仲間」という意味で、86年から会の名称として使っています。
現在の会員は約70名。
「チェンバロを勉強している人だけでなく、聴いて下さる方も仲間だと思ってます」と義子さん。

活動は旺盛で、毎年6月の「チェンバロ協奏曲の夕べ」は今年25回目を迎えました。
NHK交響楽団の元コンサートマスター徳永二男さんなど一流のゲストを迎える事も多く、正行さんのキャリアが生かされてます。

コンサートは年に2回、春と秋に開かれ、通算して46回にも。
「チェンバロは音が小さいため、広過ぎない場所で演奏するのが良いと自宅で開いてました。でも、ここは100人位しか入らないので、お客さんを断らなければならなくなって」
(義子さん)、
数年前から秋の公演は名古屋大学のホール、シンポジオンで行われています。

94年からはNHK名古屋放送局のR3スタジオで、中野さんと義子さんのスタジオコンサートを毎年開催。
他に単発の公演にも年に数回取り組んでいます。
又、気軽にチェンバロに触れてもらおうという「おさわり会」を毎年4月29日の祝日に開催、今年で22回目を数えました。
「おさわり会」には毎回、子供からお年寄りまで多くの人が訪れるとの事です。

奥が深くてきりがないチェンバロの調律

長年にわたってチェンバロの魅力を地道に広める事に貢献されてきた御夫妻とコレギウム・ムジクムの活動が評価され、平成5年度愛知県芸術文化選奨文化賞を受賞。
とはいえ
「チェンバロの愛好者というのは、中々増えないんです」
と正行さん。

チェンバロは真面目に勉強しようと思っても楽器自体が手に入れにくく、購入しても技術的に維持するのが難しいのが理由です。
チェンバロの調律はピアノに比べて何倍も大変で、
「演奏会当日となると、練習から本番までつきっきりで調律しなくてはなりません。チェンバロの調律は奥が深く、きりが無いですね」

チェンバロの調律は独学でマスターされ、27年のキャリアを持つ正行さんですが、
「始めは納得できずに不安ばかりで、気に入る音色をずっと探し続けてきました。20年を超して、最近ようやく満足出来る様になってきました」との事。
義子さんも
「どんな音がいい音かという音色を訪ねる旅はいつまでも続くものだと思います」
とチェンバロの奥深さを話して下さいました。

最後に、コレギウム・ムジクムへの思いを伺ってみました。
「雑用を一手に引き受けているので大変ですが、それを出来るだけ長く続けていきたいと思ってます」
(義子さん)
「いつまでもいい演奏会をしたいと思っています」
(正行さん)

今後もコレギウム・ムジクムの活躍に期待したいと思います。



●コレギウム・ムジクム 今後のスケジュール

◇第47回チェンバロコンサート 9月20日(金) 午後6時半 名古屋大学 シンポジオン

◇愛知県親子ふれあい芸術劇場 10月27日(日) 午後1時 津具村 つぐグリーンプラザ

※出演は全公演とも中野振一郎、藤井義子ほか