DENON DH−710Fのオーバーホール

2017/01/10






同級生からある方が
長年使用していなかったオープンデッキのオーバーホールをして欲しいとの連絡があり、
そこに伺ってこのデッキを引き取ってきました。






10年以上使っていなかったので、
まず動くかどうかとの事でした。

2本のキャプスタンにはテープ粉がこびり付いていて
テープが滑る状態だったので、

鋭利なカッターナイフで削り取りました。





ヘッドブロックです。

左より
2トラックの消去ヘッド、
2トラックの録音ヘッド、
2トラックの再生ヘッド、
4トラック用の再生ヘッド
です。

少し削られていますが、問題の無い範囲です。






背面のデュアルキャプスタンホイールです。

10年以上使用されずに放置されていたので、
テフロンベルトに
真鍮の錆びが付いていました。








真鍮製のサプライ側のホイールです。
錆びが浮いています。


これも鋭利なカッターで慎重に錆びを取りました。






モーター制御基板と
録音・再生アンプ用の電源基板です。

電源部の電解コンデンサーと、
小さい制御トランジスターは
全て新品に交換し、
規定の電圧になるように半固定抵抗を調整しました。


モーター駆動用のMPコンデンサーも
絶縁と位相特性も良好でした。


この状態でメカニズムを動かした処、
正常に動作したので、
次の作業にかかりました。



モーター制御用のリレー4個と、
制御基板のキャンタイプの制御電力トランジスタ以外のトランジスタは
全て新品に交換しました。

電解コンデンサーも定数はそのままで
全て新品に交換しました。







録音・再生アンプ部です。
LRで別基板になっています。

ここの
録音・消去用発振回路のトランジスタ以外のトランジスタは
全て新品に交換しました。

電解コンデンサーも定数はそのまままで
全て新品に交換です。










当方が
テクニクスRS−1500Uを購入時に一緒に購入した
19センチフルトラック仕様の
テストテープです。


これでテープスピードのチェックと、
基準出力レベルの調整、
周波数特製の測定、
再生ヘッドの傾きの調整

が出来ます。


このDH−710Fは
テープスピードが
19センチ・38センチとも約5%位低下していたので、
調整しました。

調整方法は19センチスピードの場合
400Hzの基準信号を再生して
周波数カウンターで周波数を確認しながら調整します。

38センチスピードの場合は、
テープスピードが倍になるので、
800Hzとなります。

RS−1500Uではクオーツロックなので
テープスピードは正確でした。



再生特性は
19センチ時に
50Hz〜10KHz間は±1db
となります。

38センチではテストテープが無いので、
BASF LPR35テープにての
録音・再生で、
50Hz〜15KHz±1db
となりました。


50Hz以下は
テストテープがフルトラックで録音されているので、
ヘッドの形状とトラックの位置により
周波数特性が異なるので、
4トラックヘッドの場合は
左右の特性が一緒にはなりません。



概して
19センチスピードの場合、
約20Hzまで再生が可能で、

38センチスピードの場合、
約30Hz以下が低下します。

これは再生ヘッドのコアの幅と、
テープスピードとの関係で
決定します。